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福岡高等裁判所 昭和24年(つ)51号 判決

被告人

赤星繁雄

主文

原判決を破棄する。

被告人を懲役一年に処する。

但し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

前略

弁護人田中照治陳述の控訴趣意は、末尾添付の控訴趣意書記載のとおりである。

第一点に対する判断

刑の執行猶予期間を既に経過終了した前科に関する前科調書が公判廷に提出され、証拠調が行われたからとてそのために控訴手続が不法とすべき法令上の根拠はないのであつてこの点に関する論旨は理由がない。

以下省略

控訴趣意書

刑事被告人 赤星繁雄

第一点

被告人は去昭和十六年九月十九日福岡区裁判所に於て竊盜罪により懲役一年、但三年間刑の執行を猶予する旨の判決を言渡され此判決は同月二十五日確定したのであるが其後被告人は昭和十六年徴集兵として翌十七年一月入隊以來軍務に服し同二十年十二月に復員したので其間刑の執行猶予期間たる三ケ年は完全に経過し刑の言渡は其効力を失ひ前科無之ものとなつて居る事は勿論である然るに原審公判手続に於て檢察官は証拠とする事が出來ないにも不拘前述の前科調書を提出して裁判所に対し刑の量定に偏見を生ぜしめる虞ある事項を述べて居るのである。

是れ即ち訴訟手続が法令に違反して爲され居る不法あるものである。

以下省略

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